お日の森の10年を振り返り

五天英晴

お日の森くらぶ代表
森林インストラクター東京会会員

その時お日の森は

 平成18年に60年以上放置されたこの雑木林を訪れてから10年を迎えることとなりました。鬱蒼とした暗い林にどこから足を踏み入れれば良いのか困惑する状況でした。
 里山林は15年~30年位で伐採され利用されていたものが60年以上も利用されず放置されたわけで、巨木となり胸高直径が50cmにもなる大きなコナラが空を覆い、密集して育った木々は日の光を求め上へ上へと伸び20mを超える高さとなりすらりと直立した格好で林立しておりました。
本来の雑木林は萌芽更新をさせるために十分な陽光を必要とする明るい低木林でした。
 元のような里山の姿をめざし皆伐し萌芽更新林に誘導して行けるのか?何か別の方法があるのか?この山をどうすべきか思案に暮れました。

まず手始めにお日の森をどうするか

 まずは手を付ける地域を決め作業道を作ることから始め、繁茂している常緑の低木類等を刈り、作業に入れる状況にして行きました。林床に光が届かない状態では下草も生えず表土が流されるため適度に間伐して行くことが必要です。

公園的な「高木林」コナラの」森に育成へ

 密集した林内での間伐作業は「かかり木」となることが多くその処理に時間を取られました。 これらの作業を続けて行くなかで元の里山の風景とは異なりますが、この林を公園的な「高木林」に育成 することが最も適当と判断しました。すっきりとした見通しを確保して、明るく安全な環境をつくり自然環境への関心をたかめる場として利用して行けるよう。作業量が少なく、景観的にもうつくしいことが理由となりました。皆伐し萌芽更新林にもって行くにはそれに費やす労力の大きさと「コナラ」の萌芽能力の問題で無理と判断しました。

この林の中心となる木は「コナラ」です。その萌芽更新能力の高さから雑木林のなかでは優良な樹木として育成されてきました。ただ、その萌芽能力は高齢化し大径木となると衰退することがわかっております。残念な がらお日の森の「コナラ」には萌芽更新が望めません。

広葉樹の大径木と高木の伐採にはスキルが必要

 振り返ってみますと広葉樹の大径木と高木の伐採という作業をいかに安全に行うかが、放置雑木林の整備に大変重要なスキルでした。
*まっすぐに生えていない
*裂けやすい
*枝が広がっていてかかり木になりやすい
*重心の見方が難しい
等から広葉樹の伐採は危険で難しいといわれます。
「伐倒方向の決定を誤らないこと」が最も大切といわれますがこれも
*傾斜や曲がり具合
*枝の付き方や張り具合
*重心の偏り
*根張りの状況
*かかり木になりやすさの有無
*隣接木の状況
*風向き
等の総合的な判断によって最も安全でしかも作業を円滑にする適正な伐倒方向を決めてゆかねばなりません。またチエンソーを安全に確実に操作する技能も要求されます。伐倒方向の決定もチエンソーの操作も「習って・慣れろ」を繰り返し、経験を積むことにより習得できるものです。

くらぶ員の育成、技量と安全の向上へ

 この数年、お日の森のメンバーの伐倒の技量は本当に上がってきました。ただこれで良いということはありません。これからもより高いレベルの技能習得に励み、安全な作業を心がけて行きたいと考えます。「放置雑木林の整備は大径木と高木の伐倒作業である」と言っても過言でないほどであり、より多くの伐倒の場を経験し腕を磨きたいと思います。

自然との触れ合いの場として

 今では幼稚園児があるいは家族づれが訪れてくれる林となりました。自然に触れる場として楽しんで頂いております。

次の10年に向けて

 ただ整備はまだまだ続きます。樹木の寿命とくらべ人間の寿命の短さをつくづく感じ毎回の作業を空しく思うこともありますが、「この秋は雨か風かは知らねども今日のつとめに田草取るなり」こんな心境でこれからも続けて行ければいいなと考えております。
次の10年も安全第一に無事故で明るく楽しく作業が続くことを祈りたいと思います。
 

2015年12月

 

■お日の森フィールド

JR高尾駅を降りてから歩いて約15分の所にお日の森があります。 ここにはまだアナグマや狸そしてイノシシが住んでいます。
沢もありますがいまではほとんど涸れており普通は水が流れていません。 過ってこの沢にはたくさんの沢蟹がいました。 森の中にはたくさんの蝶などの昆虫が飛び回っていました。
私たちは昔のような豊かな生物が生息できるような森への再生を目指して活動しています。

【くらぶの目的】

・60年間放置された雑木林を市民のボランティアと西浅川山林組合が協同で手入れすることにより、かつての美しい雑木林の復元を図り、共有の資産として将来に残す。
・都市住民の子供達や近隣住民の自然体験の学習や遊びの場に活用出来る事を目的に計画作りと整備を行なう。

【イベント参加申し込み案内】

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【活動場所】 

八王子市西浅川町156-1及び2(西浅川山林/通称“お日の森”)2.87ha JR高尾駅・京王線高尾駅 北口より徒歩約15分

【定例活動日】毎月 

■お日の森:第2火曜日&第4日曜日
■駒木野:第2土曜日